つまり、日本の金融緩和がアメリカの住宅バブルをあおったと言えるこのように、推計値には大きな幅があるが、次のことが注目される。
すなわち、アメリカのサブプラィムローンの残高は1兆ドル程度と言われているが、円キャリー取引の規模は、それに匹敵する。 たまたま一致しているわけではない。
円キャリー取引で調達された資金が直接にサブプラィムローン関係に投資されたのでないとしても、他の資産に投資されたはずの資金が円キャリー取引による資金流入の影響でサブプライムローン関連金融商品に回った可能性は十分にある。 このように、日本の異常なマクロ経済政策が、世界的な金融条件を大きく撹乱してきたのだ。
そこに、サブプラィムローンの破綻というショックが加わったために、前記のようなことが生じたのである。 この意味で、今回の株価下落は、日本のマクロ政策がまいた種によって生じたものだと言うことができる。
巨額の外貨準備が投機取引をあおった日本政府は1995年頃からドル買い介入を行ない、円高への移行を阻止してきた。 2003~2004年には、合計で約40兆円にのぼる未曾有のドル買い介入がなされた。

この結果、異常としか言いようのない巨額の外貨準備が積み上がった。 Z務省発表によると、2008年2月末の日本の外貨準備高は、1兆80億ドルである。
つまり、ほぼ100兆円である。 日本の対外資産総額と比べても、また一般会計の長期国債残高と比べても、ほぼ2割に当たる。
これほど巨額の外貨準備は、正当化できるだろうか?経済学の教科書には、「変動為替制では外貨準備は不要」と書いてある。 国際収支の不均衡が発生すれば、為替レートが変化して調整するからだ。
したがって、外貨準備が巨額であるのは、為替レートによる自動調整効果を拒否したことを意味する。 実際、アメリカの外貨準備高は日本の10分の1程度しかない。
日本でも、1995年には1845億ドルであった。 したがって、現在の日本の外貨準備高は、まったく正当化できないほど大きい。
大きな問題だ。 なぜなら、為替レートの変化について政府自身が大きな利害関係者になってしまったからである。
巨額の外貨準備を主としてドル建て資産で保有しているから、政府自身が円高への動きを阻止したいという強い動機を持っていることになる(実際には、2007年以降の円高で、巨額の含み損が発生したと考えられる。

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